プランター栽培で美味しい野菜を育てる為に、どの様なプランターを選ぶかによって、野菜の成長度合いや管理のしやすさなど、その後の栽培に大きな違いが出てきます。
様々なプランターの特徴を理解して、状況に合った最適なプランターを選びましょう。
長年ベランダでのプランター栽培を行ってきた筆者が考える、ベランダでのプランターを選ぶ際に気を付けた方が良い点や、失敗しない為のポイントをお伝えします。
サイズ

まず、プランターを選ぶ際には、これから育てる予定の野菜が、「将来どのぐらいの大きさになるか」を確認した上で、プランターのサイズを選びましょう。
野菜が元気で健康に育つためには、十分に根を伸ばせる「土の量」が必要になります。
特に根菜の場合は、野菜に合った「深さ」が無いと、主役の野菜が十分に育ちません。
根菜では無くても「根が浅く張る野菜」なのか「深く張る野菜」なのかという野菜の特徴も、事前に確認出来ていると適切なサイズ(深さ)を選びやすいです。
また、茎や葉がどのぐらい伸びる野菜なのか、株間はどれぐらい空ける事が適切なのか、支柱やネットなどの補助資材の準備が必要かどうか、なども育てる前からチェックしておくことで、プランターの限られた栽培スペースを有効に活用する事が出来ます。
特に私は、狭いプランターやスペースに、ついついたくさんの野菜を過密に植えてしまう事が多かったです。
野菜が育っていくと、思っていたよりも大きくなってしまい、非常に窮屈になってしまうという失敗をたくさんしましたので特に気を付けています。
プランターのサイズや株間が狭すぎると、風通しが悪くなりますので、病害虫の被害にあいやすくなってしまいます。
さらに根が十分に張れなくなったり、栄養の取り合いになってしまい、共倒れとなってしまう可能性もあります。
スペースが狭い事に早めに気が付いた場合は、思い切って間引きや植替えをして余裕のあるスペースを確保してあげた方が良いです。
しかし、栽培途中の植え替えは植物にとって大きなダメージになりますので、無計画な植え付けによる植替えは出来るだけ避けるに越したことはありません。
逆に、数年にわたって育てていく植物の場合は、野菜の成長に応じて一回り大きなプランターに「植え替える」ということが必要になる場合もあります。
こちらも植替えに必要な資材の準備や、植替えを行う季節なども大事になってきますので、植替えのダメージを最小限にするためにも、計画的に実施する事をお勧めします。
特にベランダのプランター栽培においては、プランターを置く場所も、プランター内の栽培可能な面積も、限られたスペースで栽培して行かなければならない事が多いと思います。
ですので、野菜を植える前から「適切なプランターサイズ」を選定し、計画的な栽培を行う事で、限られたスペースを有効に使って、品質の良い野菜の収穫と、収量のアップを目指しましょう。
排水性・通気性

プランター栽培は、畑での栽培よりも水持ちが悪い為、基本的には「ほぼ毎日水やり」を実施する事になります。
その際に、土の排水性はもちろん大事なのですが、「プランター自体の排水性能」も非常に大事になってきます。
排水タイプ別に、それぞれの特徴と私のオススメをお伝えします。
「底に水が溜まるタイプ」のプランター
これは構造的にプランター自体の底に水が溜まってしまうスペースがあるタイプで、鉢底の水をこまめに捨てる事が難しく、不衛生な水が常時溜まってしまう事になります。
こういった形のプランターは、虫・病気・汚れ・根腐れなどのトラブル発生リスクが高くなってしまいますので避けた方が良いです。
私は、事前に排水構造をチェックせずにネットでプランターを買ってしまい、何回かこの様なタイプに当たってしまいました。
すぐに捨てる事となってしまい、非常にもったいなかったです。
「受け皿のあるタイプ」のプランター
屋内にプランターを置く場合、受け皿は重要ですが、屋外に置く場合はいらないと私は思います。
プランター下の受け皿に水が溜まる事で、上記と同様に不衛生な水が溜まってしまう可能性があります。
受け皿の排水を毎日捨てられれば良いのですが、特に大型のプランターなどプランター自体が重い場合はこの作業はかなりの負担になります。
真夏や真冬など地面との熱を遮りたいなどの事情がある場合も、受け皿ではない物でも遮断は可能ですので、受け皿は外してしまう事をオススメします。
「排水を垂れ流せるタイプ」のプランター
このタイプがベランダのプランター栽培ではオススメとなります。
水をやった際に「どれぐらい水が染み出してくるか」という所が、水やりの適切な量を判断する一つの目安として重要になりますので、排水を垂れ流すことで、水が染み出す量を確認しやすくなります。
ついでにしみ出した水を利用して、ホウキやブラシで掃いてあげると、日常的にベランダ・バルコニーを綺麗に保ちやすいという利点もあります。
ただし、垂れ流した先の排水溝までのルートは、しっかりチェックと掃除が必要です。
土・枯葉・汚れなどを溜めてしまうと、マンション管理の方やご近所さんの迷惑になりますし
場合によっては、苦情やご近所トラブルの元になりますので、注意が必要です。
枯れ葉などが排水溝にたまると、案外水が流れずに大雨などで一気に溜まってしまう事があります。
マンションの漏水事故は悲惨ですので、排水口のチェックや掃除はこまめに行いましょう。
通気性が良く、空気剪定も出来るスリット鉢
鉢の下の方にスリット(細長い穴)の開いているプランターは大変お勧めです。
通気性・排水性も良くなりますし、何より根の空気剪定が可能です。
詳しくは下記のページで解説していますので、興味のある方は読んでみて下さい。
動かしやすさ

プランターは、日当たりの調整や、雨・風・寒暖などへの対応で「動かす」必要がある事も多いです。
簡単に「場所を変えられる」ということが、プランターの大きなメリットでもありますので、プランター自体の「重さ」や「動かしやすさ」は大事なポイントになります。
また、プランターを同じ場所にずっと置いておくと、どうしても床に汚れが溜まり、こびり付いてしまいますので、定期的に場所を動かしてお掃除をする事をオススメします。
それから、病気や虫などが発生した際にも、避難・隔離などの為に動かす必要もあります。
土が多く入る大きなのプランターの場合は、かなりの重さになりますので、動かす際にプランターが壊れない様に、腰も痛めない様に注意して下さい。
ちなみに、頻繁に移動が必要になるプランターは、台車に乗せておくと大変便利です。
プランターの台車については、下記ページも参考にしてください。
材質
プランターには、様々な材質の物が有りますが、それぞれの特徴を理解して、最適なプランターを選びましょう。
ベランダでプランター栽培を行う事を主眼に置いて、材質ごとのメリットデメリットをお伝えします。
プラスチック

プラスチックはのメリットは、「安い」「軽い」「加工しやすい」という所です。
しかし、材質によっては「曲がり」「割れ」などが起こり易い物もあります。
私が以前買った物の中には、土を入れた初日からフチを持って動かそうとすると、重さに耐えられずに「バキ!」と、すぐに割れてしまう様な、ひどく脆いプラスチックプランターもありました。
これは残念ながら、すぐにゴミ箱行きで泣き寝入りとなりました・・・。
固いタイプのプラスチックは、特に割れやすいです。ある程度の柔軟性があった方が割れにくくなります。
ベランダでは、日光に当たる率も高い為、対候性も重要になります。
対候性の低いプラスチックは、日光に当たっていると急激に劣化して、見た目が悪くなり、割れやすくなってしまいます。
一概にプラスチックと言っても、様々な素材・種類がありますので、このような柔軟性・対候性などを考慮して選ぶ事が出来れば、失敗を防ぐことが出来ます。
私が使った中では「ポリプロピレン製」の物が柔軟性が高く、長持ちしました。
対候性としても、数年使っても柔軟性は保たれて長持ちしました。
しかし、色褪せはある程度おこります。これはポリプロピレンの宿命の様で、防ぐのは難しそうです。
ベランダのプランター栽培には、プラスチックが総合的に見て一番無難な素材かと思います。
石・陶器(テラコッタ)

石や陶器の良さは「デザイン性」「質感」「対候性の高さ」などがあると思います。
しかし、落下などの衝撃で割れやすい点と、形状や穴の箇所によっては、排水性・通気性が悪くなるという欠点もあります。
また、大型の物は大変重くなります。
樹木などを常設する場合には良いかもしれませんが、ベランダの野菜用のプランターとしては、取り扱い辛いですので、デザイン性重視の方でなければ、デメリットの方が多いかもしれません。
木製

木質素材のメリットは「デザイン性」「丈夫さ」「質感」などでしょうか。
他のエクステリアとのコーディネートや、DIYでのプランター作りもしやすいです。
メンテナンスの仕方にもよりますが、少なからず経年劣化が起きますし、特に日向の場合は色褪せも起こりやすいです。
また、雨風や水やりの状況によっては、湿気による腐食や、カビやキノコなどが発生する場合もあります。
また、木材の質も重要で、ウッドデッキなどに向いているウリン材などの硬質で長持ちする素材もありますが、合板・集成材などの加工板の場合は、雨ざらしで使用すると、反り・めくれなども起こりやすく、見た目も汚くなり易いです。
不織布

不織布メリットは「柔軟性」「通気性」の高さにあります。
「安価」で「軽い」事も特徴です。
「デザイン性」の面でも少し変わった雰囲気をベランダに与えてくれます。
しかし、水が染みだす下部の方が、常時湿っている状態になりやすい為、コケ・カビの発生確率は高いです。底が完全に接地しない様に、シェルフなどに載せて底面の通気を確保するなどの工夫をした方が良いです。
日向のコンクリートなどに接地している場合は、地面の熱で根がやられてしまう可能性もあります。
地面との間に、ブロックなどをかまして直接接地しない様にしましょう。
私は100均で買ったウッドデッキパネルを敷いて、その上に不織布プランターを置いています。
地熱の遮断と通気性の確保が同時に叶えられます。
ビニール(袋栽培)

もはやプランターすら不要という、ビニール(袋)栽培のメリットは「簡単」で「深さを出しやすい」という点かと思います。
ゴボウなど深さが重要な一部の野菜には、かなり向いている方法です。
買った培養土の袋をそのまま使用出来たり、終了した後に処分する時も「楽」です。
ただし、景観的なオシャレさを損なってしまう部分は否めません。
袋栽培でオシャレさを保ちたい場合は、カバーや外袋などを工夫すれば改善出来ます。
また、栽培面積は取り辛いですし、どんな野菜にも合うやり方という訳ではない為、少々イレギュラーな栽培方法ではあります。
以上、私の考えるプランター選びのポイントをお伝えしました。
自宅やベランダの状況や、栽培の目的に合ったプランターを選ぶ事が、栽培管理の効率化や、野菜の元気な成長の土台となります。
筆者が実際に使ってみて良かったプランターについては、下記ページでも紹介しています。
参考になれば幸いです。