豆類とネギ類は、コンパニオンプランツとして「相性が良い」という情報を見かけたので、一緒に植えてみようと思っていたのですが、一方でその組み合わせは「相性が悪い」ですよ。という情報も同じように見かけました。
ここまで相反する情報がネットで散見されるのも珍しいですね・・・。
スペースの限られたプランター栽培では、相性の良い野菜の混植は積極的に取り入れて行きたい所ですが、どちらが正しいのかわからないので実際に植えてみて試してみようと思います。
相乗効果を発揮して、美味しい野菜が収穫できるのでしょうか。
それとも、いまいち相性が良くない感じで残念な結果になってしまうのでしょうか。
検証して行きたいと思います。
「スナップエンドウ」と「タマネギ」を同じプランターで同時に栽培してみます!
概要情報
まずは今回の主役「スナップエンドウ」の概要情報です。
種蒔きの適期 | 10月~11月 |
収穫の適期 | 4~6月 |
分類 | マメ科 エンドウ属 |
特徴 | 秋蒔きで越冬させると収量UP |
適正ph | 6.5~7.0 微酸性〜中性 |
適正プランター | 10号以上 支柱が立てられる物 |
栽培のポイント | 日当り・風通しの良い場所で、肥料・お水は控えめ |
栽培の注意点としては、エンドウは連作を嫌いますので、マメ科を育てた同じ土で連作すると生育不良や病害虫被害が出やすくなります。
また、酸性を嫌いますので、土づくりの段階で石灰などで酸度調整をしておいた方が良いです。
虫、病気を防ぐ為にも、日当り・風通しの良い場所で育てましょう。
マメ科は、根に住んでいる菌との共生関係によって、他の野菜より窒素を取り入れやすい為、肥料は控えめに育てていきます。
特に「窒素分」の肥料が多すぎると、アブラムシや病気を呼びやすくなってしまいます。
つるあり種・つるなし種の違い
スナップエンドウには「つるあり種」と「つるなし種」の2種類がありますので、確認してから自分に合った方の種を買った方が良いです。
どちらも巻きひげの様な物は伸ばすので、つるの有り無しという呼び分け方はどうなのかな?とも思いますが・・・主な違いは下記の通りです。
つるあり | 草丈が150cmぐらい(背丈に合わせた高い支柱やネット等の準備が必要) 収穫は長く、収量多め |
つるなし | 草丈が80cmぐらい(短めの支柱でも対応可能なので手軽に栽培しやすい) 収穫は短く、収量少なめ |
栽培スペースや支柱などの設備が十分ある方は、つるありを選んでたくさん収穫出来た方が良いのではないかと思います。
つるなしでも種蒔きの時期をずらして栽培する事で、収穫期間を少し長くする工夫も可能かもしれませんが、秋蒔きの場合は越冬などもあるので時期ずらしは少し栽培難易度が高くなると思います。
「スナップエンドウ」と「スナックエンドウ」
スーパーなどでは「スナップエンドウ」と「スナックエンドウ」など、似たような名前で売られている物を見かけます。
しかし、結局はどちらも同じ作物だと思って大丈夫です。
英語では「snap peas」 直訳で「ぱっちん豆」的な感じですかね?
農林水産省などに登録されている日本での「正式名称」は「スナップエンドウ」だそうです。
それとは別で「商品名」として「スナックエンドウ」と名付けた方々がおり、それも俗称として浸透して結果的に混在しているというのが現状の様です。
ちなみに「サヤエンドウ」も「スナップエンドウ」も「グリーンピース」も同じ作物です。
収穫するタイミングを変えると違う物みたいになるのですね。
若いサヤを食べると「サヤエンドウ」又は「絹さや」、豆を少し太らせてサヤごと食べると「スナップエンドウ」、しっかり太らせてから豆を採って食べると「グリーンピース」となります。
(細かい事を言えば、それぞれに適した品種などがあると思います)
ワカシ→イナダ→ワラサ→ブリの様な、出世魚みたいな感じですね。
種蒔き、植付
それでは、栽培方法を見て行きましょう。
今回は、つるあり種を育てて行きます。
種蒔きは、関東地方では10月~11月が適正時期です。
スナップエンドウはこの「種蒔きの時期を守る事」が非常に大事で、早く種蒔きをしてしまって苗が育ってしまうと、苗の耐寒性が下がってしまう為、越冬が難しくなります。
種蒔きが遅すぎても寒くなって発芽率が下がったり芽が育たなかったりしてしまいます。
下記の画像が「スナップエンドウの種」を蒔いて、「ホームタマネギ」(植付用の小さな玉ねぎ)植えてから数日後の状態です。
玉ねぎもエンドウも芽が出てきました。
真ん中の列の緑色4か所がスナップエンドウで、上下の列8個がタマネギです。
右に3つ白いのはこっそりとニンニクも植えてみました。
右上にあるのは・・・収穫し損ねてヤバい色になった秋ナスです・・・。
またしても私の得意な過密栽培になってしまう予感がプンプンします。
どうしてもプランターという限られたスペースの中で、たくさん育てたいと欲張ってしまいます・・・。
もっと「心」と「株間」に余裕を持ちたいものですね・・・泣
種蒔きの時期をしっかり守る事が、越冬を成功させる大事なポイントです。
越冬
スナップエンドウは、春蒔きでも出来ない事は無いですが、秋蒔きで越冬させた方が良いです。
寒さに当たる事で花芽の分化が良くなり、収量アップが期待出来ると言われています。
今回は10月早めに種蒔きしましたので、11月初旬で、草丈15cmぐらいになりました。
寒くなってくると成長が止まりますので、このぐらいの長さで越冬させて行きます。
この草丈10~15cmぐらいが耐寒性が高く、寒さを迎えるのには良いと言われています。
草丈が短かすぎても、伸びすぎてても寒さに弱くなるそうなので、地域や気候に合わせて栽培適期をしっかり守って種蒔きをしていく事が重要な野菜となります。
だいたい気温で4℃ぐらいの低温までは耐えられるそうですので、関東圏では屋外でも冬を越せますが、凍ってしまうと致命傷になる場合がありますので、日当りや置き場所には注意して、なるべく寒くない場所を選んであげて下さい。
また冬の間は、水やりを夕方以降してしまうと、夜に凍ってしまう可能性もありますので、朝日が出てから水をやる様にしましょう。
特に霜が降りて根本が凍るとそこから枯れてしまいますので、特に寒波の年や寒い地域の場合は、不織布を巻いたり、敷き藁やシートなどで保温対策をした方が安全です。
ちなみに、今回の「つるあり種」ですが、少し伸びると倒れて土を這う様になってしまいますので、倒れる前に支柱を立ててツルを巻いてもらって風にも耐えられる様にして行きます。
玉ねぎも元気に、伸びたい放題伸び散らかしています。
根はしっかり張ったのではないかと思いますが、玉はまだ小さいままです。
ますます過密になって行くイメージしか見えないですね・・・。
適切な大きさで越冬させる事で、花芽が増えて春の収量アップにつながります。
開花
春です。だいぶ気温も暖かくなってきました。
3月にもなるとスナップエンドウは、ツルや葉や茎が一斉に伸びまして、あっという間に支柱を覆いつくしていきました。
そしてついに白くてかわいいお花が付き始めました。
これがお豆の元になる訳ですね。
ツルや葉っぱが茂った事によって、強風にあおられて支柱が倒れてしまいそうでしたので、支柱をスズランテープで補強しました。
これで強風に対しても強度バッチリです。
支柱は、下記の「連結トマト支柱」が大活躍します。
別の記事に書いてますので、興味ある方はご覧ください。
病気・害虫対策
エンドウの生育段階で特に気になるのが、アブラムシとうどんこ病です。
株が成長し始めると共に、ヤツらとの戦いも始まるという訳でございます。
まずできる有効な対策としては、茎や葉の管理です。
成長期は脇芽が増えて、茎・葉が混んできますので、上手く分散して支柱へ誘引して行きましょう。
そして、特に下の方から葉が混んでしまいやすいので、支柱に収まりきらない脇芽は思い切って早めにカットしていきましょう。
目が行き届かない部分が出来ない様に、常に風通しを良くしておく事が大事です。
雨が続く時は水をやらずになるべく乾かす事、逆に晴れが続く時は水をしっかりやる事、土の水はけを良くする事。
水分の管理も病気予防には大事になります。
また、アブラムシはだいたい成長点の若芽や若葉に群がります。
まず成長点にアブラムシがいないか、日々のパトロール&チェックが大事になってきます。
アブラムシは多少であれば発生しても、吸汁自体の被害はそこまで大きくないです。
しかし、ほっておくとすぐに増えて行きますし、大量発生してしまうと致命傷になります。
さらに、病気を媒介する為、病気の発生リスクも高まってしまいます。
ですので私はベランダ用に「歯ブラシ」を常備し、見つけたら即、叩き落とします。
「悪・即・斬の精神」です。
ただ落とすだけですと、再びよじ登って来そうですので、なるべく致命傷を与えておきます。
ただし、力が入り過ぎてエンドウも傷つけてしまわない様に注意して下さい。
歯ブラシは毛先が細くて柔らかいタイプの方が安心です。
また、木酢液を希釈した物をシュッシュすると尚良しと思いますが、晴れの昼間にやってしまうと、直射日光で葉焼けを起こしてしまう可能性もありますので注意して下さい。
牛乳薄め液などでアブラムシを窒息させるという手段もあるそうですが、私自身も牛乳が苦手なのでその方法は敬遠しています。
しかし、ここまで病気の予防について語っておいて、身も蓋も無い事を言ってしまいますが、農薬等を使ってないプランター栽培の場合、スナップエンドウは最終的にどこかのタイミングでうどんこ病にかかってしまう事が多いのかなと思います。
うどんこ病は、発症してしまうと完全に回復する事は難しく、株の体力が奪われて下の方からだんだんと枯れてきます。
ですので、いずれ病気になるもんだ。ぐらいに割り切っておいて、うどんこ病については「いかに防ぐか」よりも、「いかに発生を遅らせるか?」が、という気構えでいた方が気持ちも楽です。
これもスナップエンドウをなるべく長くたくさん収穫する為のポイントなのかなと思います。
あと、一緒に植えている玉ねぎは、完全に脇役になってしまっていますが、すこぶる元気です。
玉の肥大化も進んできて、新玉ねぎって感じの色になってきました。
タマネギのお世話は・・・特に何もしてません^^;
アブラムシ、うどんこ病の発生をいかに遅らせるかが、長く収穫を楽しむポイントです。
収穫!
4月に入りました。栽培していて一番嬉しい瞬間がやってきました。
豆はたくさんなりました。タマネギも大きくなりました。
エンドウもタマネギも元気に育ってくれたので、収穫をしていただこうと思います。
スナップエンドウの収穫
エンドウは4~5月ごろにかけて、次々とマメが実り何度も収穫が出来るので採れたてのエンドウをたくさんいただく事が出来ました。
やはりマメも鮮度が重要な野菜で採れたては本当に美味しいです。
自分で育てた分なおさら美味しく感じます。
筋を取って、油・塩・コショウで炒めるだけで最高のおつまみになりました。
油は、オリーブオイルかごま油がおすすめです。
ベランダで採って来てすぐに料理に使えるし、採れたてで美味しいので本当にオススメです!
タマネギの収穫
タマネギは、5月頭ごろに「トウ」が立ち始めましたので、まとめて収穫しました。
上のスナップエンドウの画像の左側にあるのが玉ねぎの薹(トウ)です。
薹が出て伸びてしまうと、栄養が生殖(ネギ坊主)の方に取られて行きますので、玉ねぎやネギが美味しくなくなってしまいます。
ネギ部分はまとめて刻んでジップロックで冷凍しておきました。
「刻み冷凍ネギ」はこまめに使いやすく、非常に便利です。
新玉ねぎの部分は、水にさらしてサラダにしたり、炒め物や、玉ねぎ丸ごと炊き込みご飯などにして、美味しくいただきました。
が、しかし、8玉しかなかったので、一瞬でなくなってしまいました・・・。
そして、こっそり潜ませていたニンニクは・・・
途中で湿気で腐ってしまった為、残念ながら収穫出来ませんでした。
ニンニクはそのうちリベンジしたいです。
検証結果
スナップエンドウは、上手くいくと何度も収穫が出来ますし、特に鮮度が重要な野菜であり、採れたてをすぐに食べられる為、プランター栽培としてのオススメ度・満足度が高かったです。
自分自身、ぜひまたリピート栽培したいお野菜になりました。
タマネギは、お世話の手間はほとんどかからなかったのは非常に良かった点ですが、プランターではあまり栽培面積がとれません。
かけた時間の割に1株に1玉しか取れない為、プランターでは収穫量的な部分で満足度低めという所が、私個人としては正直な印象でした。
今回の様に、お豆のオマケで植えておく位で、丁度良かったかもしれません。
結果的には、ご覧いただいた様なかなりの密植でも、エンドウもタマネギも元気に育って収穫した野菜の品質も良かったので「スナップエンドウ」と「タマネギ」は「相性が良い」または「相性は悪くない」と言えるのではないかと思います。
次回はスナップエンドウを主役にして、タマネギではなくネギやニラなどを一緒に育てて検証してみようかなと企てています。
(おまけ)スナップエンドウとネギとの混植
別の年にスナップエンドウとネギを一緒に植えてみました。
上記画像のプランターの両脇に見える細長い葉っぱがネギです。
ほぼ見えないですが奥側にもネギが植わってますので結構な混植になっていますが、全く問題無く元気に収穫出来ました。
ネギは一度植えてしまえば、ネギ坊主が出て来てそこから種がたくさん採れます。
増やすのも簡単ですので、コンパニオンとして所々に生やしておくと重宝します。
色んな季節への適応力も高く使いたい時にすぐ収穫も出来ますし、刻んで冷凍して置いてもかなり便利に使えますのでベランダ野菜として大変オススメです。