アスパラガスは、ベランダやバルコニーのプランターで育てられるのか?
しっかり収穫まで出来るのか?
採れたての美味しいアスパラガスが食べられるのか?
実際にやってみた栽培方法、育て方を画像付きでご紹介して行きたいと思います。
アスパラガスといえば「鮮度が命!」というのタイプの野菜です。
採ってすぐであれば生でも食べられるほどです。
一般的な売り場に並んでいるアスパラは、市場を経由して店頭に並ぶまでに、収穫から何日も経過している物が多いと思いますので、鮮度が落ちてしまいやすいです。
ですので、採れたての「鮮度抜群のアスパラ」を味わう事が出来る可能性があるならば、自宅でプランター栽培をやってみる価値は大いにあると思います。
栽培の難易度はそこまで高くないと思いますので、プランター栽培の初心者の方でもアスパラガスの栽培は可能だと思います。頑張って行きましょう!
概要情報
まずは「アスパラガス」の概要情報からチェックしていきます。
植付の適期 | 5~6月 |
収穫の適期 | 4~9月(随時) |
分類 | キジカクシ目 キジカクシ科 クサスギカズラ属 |
特徴 | 多年草、雌雄異株 |
適正ph | 6.0~7.0 中性~微酸性 |
適正プランター | 深型(深さ30cm以上) 2年目、3年目以降は もっと深い物が望ましいです |
栽培のポイント | 日当たりの良い場所、 肥料とお水大好き、水捌け大事 風で折れないように対策 |
種からの栽培も可能ですが、苗(または根)を購入してスタートした方が簡単で楽ちんです。
ある程度育っている苗から始めれば、種からのスタートより収穫までの期間を1~2年短縮する事が出来ます。
根が深めに張って行く野菜ですので、最終的なプランターは深さ30cm以上の出来るだけ深型の物が望ましいですが、初めから大きなプランターだと管理が大変ですので、特に1年目の苗が小さいうちはもう少し小さめのプランターでも良いかと思います。
出来れば毎年1月〜2月ごろの根の休眠期間中に、一周り大きなプランターへと植え替えて、土もリフレッシュをしてあげると、春以降の元気な成長が期待できます。
ということで「多年草&根っこが本体」という所が、この野菜の大きなポイントかと思います。
アスパラの収穫を目指すには、1年目は、葉・茎をしっかり養生して根っこに栄養を蓄えてもらい株を充実させることが大事です。
収穫が期待できるのは、順調に行って2年目、3年目以降となります。
その後は上手くいけば10年以上毎年収穫が出来ますので、長年お付き合いしていく為の「心構え」と「栽培スペースの準備」をしておく事が大事かと思います。
苗の植付

5月のある日、購入した苗をポットから鉢に植えてみた際の様子です。
スーパーで売られている「アスパラガス」の姿をイメージしていたので、予想とは全然違った姿にちょっとビックリしました。
今後が少々不安になってしまうぐらい、ヒラヒラと貧弱な見た目をしています。
ここで気を付けていただきたい事は、栽培の計画を立てておくことです。
この段階では、そこまで大きな鉢やスペースは必要ないのですが、アスパラは育てていくとかなりの大きさになります。
私の体感値ですが、最終的には1株に対して「縦・横で50cm×50cm、高さ2m程度」のスペースがあった方が良いです。
さらに上の方は風で煽られて周りの物に当たってしまいますので、周辺のスペースはもっと余裕があった方が望ましいです。
まずは数年にわたってそのようなスペースを占拠されるという覚悟が必要となってきます。
繰り返しになりますが、あらかじめ栽培スペースと心の準備をしておきましょう。
■アスパラガス栽培に必要なスペースのイメージ

新芽
苗を鉢に植えてしばらく経ちますと、細いミニアスパラ(新芽)が生えてきます。細くて緑色のつくしみたいな生え方です。

元々生えていた茎のヒラヒラ部分も少しずつ大きくなってきました。
どうやらこのアスパラ君たちは、このプランターで生きていく覚悟を決めてくれたように見えます^^
アスパラは、北海道産や長野県産など、冷涼な地域での栽培が盛んなだけあって15~20℃ぐらいが栽培の適温となります。
そうなると暑さの方に耐えられるのかも心配になってきますが、神奈川県の我が家の場合、真夏でも日当たりの良い日向で元気に育っていますので、一般的な日本の夏ぐらいの暑さには耐えられる様です。
擬葉
6月です。梅雨と共に徐々にジットリ暑くなってきましたが、茎も葉も青々と健康的に伸びており、元気そうです。

そして、前回生えてきたミニアスパラと同じような子達がさらに数本生えてきて、すごいスピードで伸び始めました。
そして、そのミニアスパラたちは「つくし形態」で、ビューン!と伸びて行くと、徐々に穂先を開いて「ヒラヒラ形態」に変わってく様な生え方をします。
ちなみに、この「ヒラヒラ」は「擬葉」と言って、遠めに見ると「葉っぱ」の様にも見えますが、近くでよ~く見ると、細かい「茎」が枝分かれした物だとわかります。
この一本一本の細かい茎が、葉っぱの代わりに光合成をする事で、大事な栄養を蓄えて行きますので、収穫を目指す上では、この「擬葉」を元気に育てて管理する事が非常に大事になります。
読み方はたぶん「ぎよう」だと思うのですが、「ぎば」と書いているサイトもありました、、、いろいろ調べたのですが、結局どちらが正しいのかはっきりわかりませんでした^^;
栽培管理
アスパラは栽培スペースさえ確保できれば、管理はそれほど難しくありません。
ベランダで数年間育てた実感としては、病害虫にも比較的付かれにくい野菜だと思います。
日常的な管理としては、主に「水やり」「追肥」「防風対策」といった所かと思います。
水やり
「水やり」は、新芽が生える春以降から、枯れる11月頃までは、毎朝行います。
あげる際は鉢底から水が染みだすぐらいタップリとあげて下さい。
土に水を通す事で、土の中の空気も入れ替えるイメージです。
特に夏場は背が高くなり、擬葉がたくさん茂って、水の吸い上げも多くなりますので、水を切らさない様に注意して下さい。
水分が不足すると光合成に支障が出ますので、根に栄養を蓄えるパワーが落ちてしまいます。
逆に、冬場の地表部が枯れた後は、水をあげる量や頻度は少なくて構いません。
毎日水やりする必要も無く、土が乾いてきたら水をやる程度で問題無いです。
どちらかと言えば、過湿よりは乾燥に強い植物ですので、冬場に夏と同じ勢いで水やりしてしまうとトラブルの元になりますので注意しましょう。
追肥
アスパラは肥料を好む野菜ですので、春の新芽が生えた段階から、秋に成長が止まるところまでの間の「成長期」は、1か月に1度ぐらいの頻度で「追肥」を行うと良いと思います。
我が家では、春・夏はおおまかに2週間ごとに「8:4:4の肥料の追肥」と、「木酢液・菌力アップの希釈液の冠水」を交互に行うイメージで対応をしています。
上記の使用資材に関して、詳しく知りたい方は下記のページを参考にしてください。
強風対策(茎折れ対策)
アスパラは、背が高い割に茎は細いので、強風で茎が折れやすい野菜です。
ですので、茎が「折れないように保護」をしてあげる事が重要です。
我が家の「強風対策」としては、スズランテープで輪を作り、柵と一緒にくくっています。
ベランダやバルコニーであれば、柵は必ずあると思いますので、新たに支柱を立てる必要もないと思います。
紐であれば外すのも簡単ですし、輪を少し緩くしておけば紐をつけたまま多少は移動も出来ますので、掃除をする時も楽です。
茎の全長の真ん中より少し上ぐらいの位置を支える感じで、茎が折れない様にバランスを保つようにしてあげて下さい。
我が家のバルコニーも、かなりの強風が吹きますが、この対策で茎折れはほとんどありません。
スズランテープは数か月は持ちますが、だんだん劣化してきてそのうち切れますので、ほつれが増えてきたら交換する事を推奨します。

冬支度・越冬
11月になったら冬越しの準備をして行きます。
寒くなってくると茎や偽葉が、周りから徐々に黄色くなって枯れて行きます。


冬はアスパラガスの地表部は全て枯れますので、黄色くなって枯れましたら、枯れた茎が腐る前に地際でカットして、土の中に根っこだけを残して越冬させます。
上記の枯れたアスパラガスを地際でカットした後の様子がこちら↓

カットした後、冬場の水やりは控えめにします。乾いたら水をやる程度で毎日あげなくても大丈夫です。逆に過湿は良くない為、水のやりすぎに気を付けましょう。
冷涼な気候を好む野菜ですので、寒さにはある程度強いはずですが、根っこまで完全に凍ってしまうと深刻なダメージを受けてしまいます。
我が家では屋外でも冬を越す事が出来ていますので、神奈川県程度の気候であれば、屋外での越冬も可能です。
なるべく日中に日当たりの良い場所を選ぶ様にしつつ、リビングの窓際付近に置いてます。
リビングの暖房の漏れによって若干の保温効果があるのではないかと期待しています。
年によっては記録的な寒波が来る場合もありますので、心配な方は、敷き藁・マルチ・不織布などで、さらなる保温対策をしてあげればより安心かと思います。
出来るだけ良い管理で冬を超えてもらい、また来年の春に元気に新芽が出てくる日を待ちましょう・・・。
植え替え
アスパラガスのプランター栽培では、出来る限り毎年、植替えを行う事が望ましいです。
冬の休眠期の間に、容量に余裕がある鉢に植え替える事によって、根が成長するスペース(土)と栄養を確保してあげる事が、株を成長をさせる為には重要です。
この後は年ごとのアスパラの植え替えの様子をご紹介して行きます。
1年目の植替え
2月になると、少しだけ暖かい日も増えてきます。
休眠が明けて根が動き出す前に一回り大きな鉢に植え替えておきましょう。
鉢をひっくり返してみると・・・鉢の中でギッシリ根が張って抜けなくなっていました。

鉢を押したり、引いたり、叩いたり、格闘の末、なんとか抜けました。。。
鉢底石も巻き込んで、とんでもなく窮屈な思いをさせてしまっていたようです。
これでは、これ以上成長しようという気が起きなくなってしまうのも無理はないですね・・・。
やはり鉢の大きさは、気を使ってあげたほうが良いですね(^_^;)

今回は巻き込んだ鉢底石を除去し、なるべく根を痛めない様に少しほぐしてから一回り大きな鉢に植え替えました。
下記が「植え替え後」の3月に新芽が生えてきた画像です。
冬の間、変化の無い土を眺めるだけの日々が続きましたので、しっかり生きていてくれたことへの安心感と共に、久しぶりに顔を見られた事によって、非常にテンションが上がりますね!
植替えでリニューアルした土から、なかなか立派な太さでニョッキっと顔を出してくれると収穫にも期待が膨らみます!


2年目の植替え
2年目も春になる前に、植替えをしようとは思っていました。
予定では根の休眠中(2月ごろ)には、完了するつもりでいました。
しかし期末に向けて忙しかったり、正直、「植替え面倒だな~」と思っていた部分もあり、実際は3月までほったらかしてしまいました。
その結果、植替えをする前に新芽がニョッキっと出てきてしまいました・・・。
新芽が出始めるとドンドン生えて伸びてきてしまうので大変です。
本来は芽が出る前に植え替えを完了しておくべきだとは思うのですが、このまま窮屈な中でもう一年過ごしてもらうよりは・・・と思ったので、芽が出た状態ではありますが、思い切って植替えを実施しました。
2年目の根は、1年目より根もさらに大きく、増えていました。
この頃になると根の大きさや量がかなり増えていますので、結構大きな植木鉢かプランターが必要になります。
大きなプランターに変えるのが難しい場合は、思い切って根っこを切り分けて分割する事で、根が成長するスペースがある土壌環境を確保してあげると良いと思います。


3年目の植替え
3年目も植替えをしたのですが、ご覧の通り底面に根がビッシリ生えていました。
これが植わっていた不織布プランターは深さ40cmほどありました。
プランターを外してみて、ここまで底面に根が張っているという事は、40cmでも深さが足りないという事なのだと思います。
アスパラはかなり深くまで根を伸ばす為、2~3年目以降は出来るだけ深いプランターに植えてあげた方が良いと思います。

収穫!
2年目の収穫
結果から言いますと、2年目の春はほぼ収穫適期を逃してしまいました・・・。
そんなに立派なアスパラが生えてくるとは思ってなかったので、「収穫するぞ!」という心の準備が、正直できてなかったのです・・・。
収穫すると「株が弱りそう」という考えもあり、すっかり腰が引けた状態で数日見守っていたところ、すごいスピード伸びてしまいまして、「あれ?もうちょっと固くない?」っていう感じになってしまいました。
本当に伸びるのがめちゃくちゃ早いです。
数日であっという間に伸びきってしまい、茎が固くなってしまいます。
どのぐらいで採って良いのか?イマイチわかっていなかった事も、今思えば敗因でした。
仕方なく2年目は収穫をほぼ諦めて、さらに栄養を蓄えてもらう事にしました。
大事に育ててきた作物だけに、収穫する際も「心の準備」と「タイミング」が大事です。。。




3年目の収穫
3年目は土がたくさん入る不織布のプランターに移しました。
おかげでたくさん太い茎が生えてて来たので、しっかりと自家製のアスパラガスを収穫する事が出来ました!
正真正銘の採れたて野菜「超新鮮なアスパラガス」でございます。
すぐにさっと炒めて食べてみました。(オリーブオイル、塩、胡椒)
すごく美味しかったです!!!(食レポの才能が無くてすいません…)
アスパラの風味と甘味が凄いです。生でもかじれます。
春野菜パスタなどにもして食べましたが、本当に美味いです。
普通に売っている物との違いが実感できたので、改めて鮮度が凄く大事な野菜だなと思いました。



上記の短いアスパラは10cmぐらいでしたが、子供が折ってしまいましたので仕方なく収穫。。。^^;
やはり伸びるのがすごく早いので、採れるチャンスは一瞬といいますか、1本ごとの収穫適期はほんの数日だと思います。見逃すとすぐに伸びて固くなってしまいます。
ですので、良い感じの太さの物が生えてきたら狙っておいて、15~20cmぐらいで(気持ち早めに)採ってしまう方が良いと思います。
30~40cmぐらいに伸びてしまった場合は根本の方の皮が固くなってきます。
でも芯は甘くて美味しいので、調理する際に根本の方の皮を削いで使えば美味しくいただけます。
とはいえ「平日は忙しいから週末に採ればいいや~」とか油断していると、すぐに適期を逃してしまいますので気を付けて下さい。
3年目は、株の体力がついている感じも凄く伝わって来たので、直径1cmを明らかに超えている様な太い茎は思い切ってドンドン収穫しました。
春は2~3週間ぐらいを目安に太い物だけ収穫して行って、太い物が出なくなったり生えるスピードが落ちたら収穫をストップすればよいと思います。
同時にたくさん生えてきますので細い茎は収穫せずに伸ばしておいて、早めに光合成がたくさん出来る状態にしてあげましょう。
擬葉をたくさん広げてもらい、しっかりと光合成で栄養を蓄えてもらえる状態を早めに作ってあげて次の収穫にも備えるというイメージです。
株の調子が良ければ、夏から~秋にも追っかけで新たな芽が生えてきますので、株が元気で太い物が生えて来るようであればそちらも収穫しても大丈夫です。
検証結果
苦節3年。
色々ありましたが、マンションのプランター栽培でもしっかりとアスパラガスの収穫は出来ました!
これ以降も10年ぐらい毎年収穫が楽しめるはず・・・。
今後も上手くいけばさらに嬉しいですね。
数年お付き合いした感覚としては、管理の手間もそこまでかからないですし、病害虫リスクも低めですので、大変お勧めできるプランター野菜だと思います。
ただ、スペースを数年にわたり占拠しますので、場所に余裕がない場合は相性が悪いかと思います。
背丈も高くなるのでマンションの場合、外(1階)からも見えてしまう場合があります。
その辺りが気になる方も合わないかもしれません。
個人的には、見た目もユニークな姿でユラユラと可愛いですし、バルコニーの景観にもマッチしている気がしてとても気に入っています。
我が家はこれからもアスパラさんと末永くお付き合いして行きたいと思います。


