「ベランダで堆肥作り」堆肥用プランターの作り方とメリット

ベランダで堆肥作り プランター栽培やってみた
ベランダで堆肥作り

今回は「堆肥用のプランター」についてのお話です。

我が家ではベランダに堆肥を作る為の専用プランターを用意しています。

これは実際にやってみると、色々と良い事があったので是非お伝えしたいと思った次第です。

ベランダゴミを家のゴミ箱に捨てるのが面倒だな~と思っている方や、肥料を自分で作る事に興味がある方などには特にお勧めです。

コンポストとの違い

いきなりですが、すでにコンポストを使っていて上手く機能している方は、堆肥用プランターは必要ないです。

「堆肥用プランター」と「コンポスト」は、ほとんど同じです。

一般的に言われているコンポストとの違いは「家の中の生ゴミ」を入れない事です。

なので私はコンポストとは呼ばず「堆肥用プランター」と呼んでいます。

以前は私もコンポストをやっていたのですが、投入する前の生ゴミを選り分けたり、細かく刻んだり、レンジでチンしたりして、分解しやすくなる様に下処理をしてから投入していました。

徹底した下処理のおかげで、匂いが出たり虫が湧いたりする事は無かったのですが、その投入前の生ゴミ処理作業がだんだん面倒くさくなってきて、結局コンポスト自体はやめてしまいました。

自分は下処理の甘い状態で生ゴミを投入する事が出来ない性格だったという事もあると思います。

もしも大きなコンポストがあれば、家の生ごみを下処理無しでドサッと入れられるかもしれませんが、ベランダの場合はスペース的にも制限がありますし、大きな物は置き辛いですよね。

コンポストの容量が少ない場合は、下処理の甘い家庭ゴミをバンバン入れてしまうと分解が追い付かず、悪臭や虫などトラブルの元になり易いと思います。

しかし「ベランダゴミ専用」としてみる事で、コンポストと比べると管理の手間がほぼ無くなりました

この辺りは、皆さんの家の状況であったり、人それぞれの性格や考え方によりますので、好きなやり方を選べば良いと思いますが、私と同じ様なタイプの方はコンポストよりも手軽な「堆肥用プランター」の方がマッチするのではないかと思います。

堆肥用プランターの作り方

堆肥用プランターの作り方は、非常に簡単です。

適当な大きさの空きプランターを用意して、土と有機物を入れて混ぜるだけです。

ベランダ菜園の規模や育てている植物の量などにより、使うプランターの大きさはご判断下さい。

プランターではなくバケツなどの容器でも対応は可能ですが、水が溜まってしまう容器は失敗の元になりますので、排水性があるプランターを使う事をオススメします。

【作り方①】適当に土を入れます

適当な大きさのプランターに適当に土を入れます。使用済みの土で大丈夫です。
量はプランターの6分目ぐらいが良いと思います。

満杯にしてしまうと混ぜる際に土がこぼれたりするので扱いづらくなります。

栽培後のプランター自体をそのまま流用しても良いと思います。
私は下の画像の様に、大葉とバジルが植わっていた植木鉢をそのまま使いました。

堆肥用プランター
堆肥用プランター

【作り方②】有機物を投入します

ベランダで発生した落ち葉、下葉刈りなどで刈った茎・葉、抜いた雑草などの有機物ゴミを入れます。

枯れ葉でも緑の葉っぱでも大丈夫です。

容量や分解力に限度はありますが、好きな時に投入して問題ありません。

私はゴミが出たらとりあえず放り込んでおいて、後で気が向いた時に手で千切ったりハサミで刻んだりしてます。

細かくちぎったり、切り刻んだ方が分解が早いです。

特に、固い茎、根っこ、ネギの皮などの繊維質が多い物は時間が掛かりますので、なるべく細かくして投入しています。

そして、日当り・風通しの良い所に置き、他の鉢のついでに水をやりをしましょう。

空気と水分が適度にあり、温かい方が優良な微生物の活動が活発になり「発酵」が進みます。

逆に、風通しが悪く陰湿な状態が続くと悪玉菌の勢力が伸びて「腐敗」に傾きやすくなります。

堆肥用プランター
堆肥用プランター

【作り方③】なるべく混ぜて発酵させます

混ぜると言っても、グルグルとかき混ぜるというよりは、掘り起こして空気を含ませてひっくり返す感じです。

有機物が土とたくさん触れる様に混ぜて、埋めてあげると分解が早まります。

また、分解・発酵に貢献する菌は空気を好む物が多い為、混ぜる事でより活発になります。

混ぜる頻度は、気が付いたら混ぜるぐらいの適当さでやってます。
なんなら混ぜられなくても分解がゆっくりになるだけですので、そこまで問題ありません。

時間に余裕がある方は、朝晩で1日2回ぐらい撹拌が出来たら十分かと思います。

そして、なるべく色々な物を混ぜる様にしています。

出来れば有用な微生物が配合されている資材も入れると、さらに活性化されます。

微生物系の資材に興味がある方は下記の別記事もご覧ください。

我が家では微生物資材の他にも、N-P-Kの有機肥料、苦土石灰、木酢液なども混ぜ込んで、微生物の種類や活動が増える様に心掛けています。入れる頻度や量は適当です。

堆肥として使えるまでの目安期間としては、夏場で1ヶ月、冬場で2~3か月程です。

しかし実際は順次有機物を投入していく形になってしまうので、ある程度適当になってしまうかなと思います。

注意点として、未熟な堆肥はプランターに入れない様にしましょう。

未熟ということはまだこれから発酵していく段階ですので、発酵の際にガスや熱が出たりしますので、植物にとっては良くない土になってしまいます。

さらに栄養の偏りが出やすくなったり病原菌の勢力が残っていたりなどのリスクも高くなってしまいます。

しっかり分解、発酵が進むまで堆肥を作る時間に余裕は持っておきましょう。

さらに余裕があれば、投入用と寝かせる用で堆肥用プランターを複数作って、しっかりと発酵させた完熟堆肥を作ってから使うように出来れば完璧です。

完熟してくると、森の中の土の様な良い匂いになります。元の有機物の形がなくなって、フカフカの黒土になっていれば、良い具合に発酵が進んだと判断して良いと思います。

作り方は、以上です。

堆肥用プランター
堆肥用プランター

ミミズが住み着いてくれたらベリーグッドですね。

ミミズ
ミミズ

堆肥用プランターのメリット

ベランダに堆肥用プランターを作ってみたら良い事がたくさんありました。
私が感じているメリットを挙げておきます。

メリット
  • ベランダで発生したゴミを、家のゴミ箱に捨てる手間が少なくなる
    (枯れ葉、落ち葉、手入れで刈った葉や茎、雑草、虫の死骸、など)
  • コンポストよりも楽
  • 自作の堆肥作りが楽しめる
  • 堆肥は土の団粒構造を高める補助肥料として使える
  • 土の入れ替え時に限らず、栽培中のプランターへの追肥としても使える
  • 発酵の状態を良くすることで、病害虫の予防にもつながる

「発酵」と「病害虫予防」については結構大事なポイントだと思いますので、以下のコンテンツでもう少し深堀りをさせていただきます。

自作堆肥の病気予防について

堆肥用プランターをやり始めた当初は、土や残渣を再利用して自作堆肥を作る事で病原菌なども引き継いでしまうのではないか?と少し心配していました。

ですが実際にやってみると、特に殺菌消毒などの作業や薬品の投入はせずに使えています。

殺菌作用があるとすれば、希釈した木酢液をたまにかけている程度です。

そんな感じで実際に数年やってきましたが、今の所は病気の再発や連鎖などはありません

これは、有機物の「発酵」が上手く行っており、堆肥の栄養バランスを整えつつ、病害虫の活動も抑える事が出来ている為だと思います。

多少変色した葉っぱや、カビ・虫などがついた葉っぱなんかも入れちゃってますが大丈夫です。

もちろん、あからさまに病気のひどい場合や、ビッシリ虫が付いている様な場合は、分別してゴミに出した方が無難かと思います。

堆肥用プランター
堆肥用プランター

「発酵」の力で病気を防ぐ

土の再利用で病気の被害を予防するために、堆肥をしっかり「発酵」させる事が大事です。

出来るだけ多様な有機物を入れる事で、それぞれの微生物、栄養素、匂いなどが混ざります。

ネギ、シソ、ミントの葉などは、匂いだけでも害虫忌避の効果がプラスされそうです。

そういった多様な有機物が、多様な微生物によって無機物へと分解されていきながら、多様な栄養素が徐々に土壌に補充されて行きます。

そうして主要な栄養素から微量要素までが補充される事で、土壌の栄養素のバランスが整い、病害の発生率も下がります

もし「植物に必要な栄養素」や「有機物・無機物・肥料」などに興味がある方は、下記の別記事もご覧ください。


こういった様々な材料を持って「発酵」というプロセスを踏むことで、微生物界の勢力バランスも整い、病原菌の勢力を抑制することが出来ます。

発酵の際には熱も発生しますので、これも病害虫を抑えたり、雑草の種を発芽させにくくする効果があります。

逆に、微生物界のバランスが悪くなって病原菌が活発になったり、栄養素のバランスが崩れて過剰や欠乏している栄養素が出てくると、病気になりやすくなります。

人間も同じで、免疫力が落ちていたり、腸内環境が悪かったり、栄養バランスが悪かったりすると、病気になりやすくなりますよね。それと似ていると思います。

病原菌と病気の関係

植物の病気の原因になる菌の多くはカビ系の菌だと言われていますので、自然界や空気中のそこら中にいます。

ですので「病原菌が付くと病気になる」と言うよりは「病原菌が付いて活発になると病気になる」という捉え方が正解なのではないかと考えています。

そう考えると、常に空気中を漂っている様なカビ菌に対して「殺菌・消毒」をしたところで効果は一時凌ぎ的になってしまい、対策としては微妙なんじゃないかなと思ってしまいます。

根本的な解決の為には、病原菌は常にいるという前提で「病原菌が活発になるのを防ぐ」という事に意識を向けて行く事が大事だと考えます。

その為には、植物の生育環境を整えていく事が大切です。

菌の活動には気温、日光、水分などが密接に関係してきますし、やはり一番は土壌環境を良くしてあげる事が大事なのかなと思います。

その為にも、堆肥用プランターを作る事で、微生物の働きや発酵について実践的に学ぶ事が出来ます。

堆肥を自作して試行錯誤しながら土壌を改良していく事は、植物の健康にとっても我々の栽培技術の向上にとっても素晴らしい取り組みだと思います。

ですので、大事なプランターを1つ費やしてでも「堆肥用プランター」として活用するメリットはかなりあるのではないかと思います。

堆肥用プランター 発酵黒土
堆肥用プランター 発酵黒土
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