今回は、イチゴのプランター栽培をやってみたいと思います。
苺には、実のなる時期の違う「一季なり」と「四季なり」の品種がありますので、どちらを育てようか迷いました。
「四季なり」で長い間収穫が楽しめるのも良いなと思いましたが、私は「旬」を大事にしたいと思った事と、「一季なり」の方が美味しいイチゴが出来やすいのではないかと考え、一季なりの中で育てやすそうな「とちおとめ」を選択しました。
それから心配な点として、我が家のベランダには「ヒヨドリ」が来るのですが、イチゴは大好物らしいので、食べられない様にしっかり対策を考えて挑んで行きたいと思います。
概要情報
まずは「とちおとめ」の概要情報からチェックしていきます。
植付の適期 | 10~11月 |
収穫の適期 | 5~6月 |
分類 | バラ目バラ科オランダイチゴ属 |
特徴 | 宿根性多年草、一季成り |
適正ph | 5.5~6.5 弱酸性 |
適正プランター | 根は浅めに張る、深さ20cm、株間20~30cm欲しい 実が成る場所や方向を意識して植える |
栽培のポイント | 日当たり、風通し、水はけを良くする 翌年は苗を更新した方が良い(ランナーから再生可能) |
イチゴを育てるまでは、てっきり1年草だと思っていたので意外でした。
それから、株の増え方も独特ですね。ランナーという特殊な茎を伸ばして株を増やすことが出来ます。
ランナーについては、後述のコンテンツ内でより詳しく見ていきたいと思います。
ランナーから株を増やす栽培にもトライしてみたい所です。
植付

はい。やってきました。元気なとちおとめのイチゴ苗です。
時は12月初旬。植付の適期をだいぶ過ぎていましたが、この時はまだなんとか大丈夫だろうと思っていました。
しかし、これが後々に響いてくる事になるとは、この時は夢にも思っていませんでした・・・。
詳しくは、来春の収穫の部分で後述します。
さて、今回は40リットルのプランターに3株植えて行きます。
プランター側は土のリフレッシュも完了し、スペシャルブレンド土になっているので準備万端です。
まずはポットのまま置いてみて、だいたいの穴の大きさや深さをチェック。

植える際は「クラウン」が土に埋まらない様に深さを調節します。
下記の赤丸で囲んだ部分がクラウンです。ここから新芽が出てきます。ここに光を当ててあげる事が大事です。

また、「苗の向き」も意識をして植えて行きます。
古いランナーと逆側の、クラウンが向いている方向に花が咲きますので、花が咲く方向を予測してプランターの外向けなどにしておくと、花や実の手入れがしやすくなります。
そして今回は、コンパニオンプランツとしてイチゴと相性が良さそうなネギとニンニクを一緒に植えてみようかと思います。
ネギは他の植物の邪魔をしにくい形状をしてますし、根に共生している菌がイチゴの栄養吸収もサポートしてくれますのでオススメです。
なので、ネギの根の菌を活かすためにお互いの根が絡まるぐらい近くに一緒に植えて行きます。

ニンニクは後ほど収穫する予定ですので、掘り出す際になるべく他の根を痛めない様に、仲間外れにして真ん中に植えました。

植え付けたら、周りの土と馴染む様に水をたっぷりとあげまして、とちおとめのイチゴ苗の植付は完了です。
越冬
イチゴは比較的寒さに強く、‐5℃程度は耐えられるようです。
我が家(神奈川県)の場合は、特に防寒対策は行わずに屋外で冬を越せました。
ただし、雪・霜・凍結などはダメージとなりますので、記録的寒波などが予想される場合は、防寒対策をした方が良いかもしれません。
ただし、暖め過ぎはNGです。
秋~冬の時期に、しっかり寒さに当たる事によって花芽の元が作られていきます。
特に1季なりの場合は、ここで出来た花芽の数によって収量がほぼ決まってきます。
寒い時期は見た目の変化はあんまりないのですが、見えない部分で収穫へ向けた勝負はすでに始まっていたりします。

開花~受粉

2~3月頃から少しずつ花が咲き始めます。
イチゴの花は、虫や風のおかげで自然受粉しやすいタイプだとは思いますが、ベランダ菜園で気温が低い時期など、虫や風の恩恵を受けにくい状態の場合は、人工授粉を行った方が確実性が上がります。
花は開花から数日は咲いていますが、開花した初日ですと、まだ雄しべから花粉が出ていない場合が多いです。
人工授粉する際は、雄しべから花粉が出ている事を確認してから行った方が良いです。
雌しべを痛めない様に、耳かきや綿棒の様な柔らかい綿や、メイク用のブラシや筆などの柔らかい毛で、雌しべ全体にまんべんなく花粉を付けましょう。
雌しべのツブツブ一つ一つに受粉の判定がある為、風や振動などだけで受粉がまばらだったり不十分な場合は、イチゴの実になる際にツブツブの肥大化にバラつきが出てしまい、不格好な実になってしまったり、実が育たなかったりします。
受粉が上手く出来なかったり、その他の理由で実の成長に失敗している物は、雌しべの部分が黒く変色して行きます。
下記画像の様に黒くなった物は早めに取ってあげた方が、他の花や実が成長しやすくなります。

ランナー
イチゴは「ランナー」(ほふく茎)という特殊な茎を伸ばして、新しい株を増やす事が出来ます。
種から育てる事も可能ですが、農家さんの間でもランナーから新苗を作る方が主流な様です。
下記のヒョロンと伸びて、先っぽに小さい葉っぱが付いている茎がランナーです。

これの先っぽが、水分のある土の地面に付くとそこから発根して新しい株になって行きます。
翌年の為にランナーから新しい苗を作って行く予定ではありますが、まず1年目は苺の実を収穫する事がメインの目的です。
ランナーが出始めるという事は、苗の意識が株を増やすことに向き始めており、ランナーが増えて伸びると栄養がそっちに採られてしまう為、見かけたら切ってしまいます。
勢いよくたくさん伸びてきますのでドンドン切ります。
防鳥対策

4月の初旬です。植え付けた頃より葉っぱも増えてきまして、花と実が着き始めました。
そろそろ我が家の天敵である「ヒヨドリ」の対策を考えたい所。
今回は苺の実を絶対に死守する為に、物理的にシャットダウンする方法を考えています。
そうです。防鳥ネットです。
しかし被せ方をどうしようかなと思っていた時に見かけたのがこちら。

こちらのフレームにビニールでは無く、ネットを被せたらどうでしょうか?
プランターのサイズと合っていれば良さそうです。
実際にやってみた様子がこちら。

家にあったネットを被せたら、少々寸足らずでしたがなんとか完成。
ネギとニンニクは葉が若干引っかかってしまいますが・・・まあOKとしましょう。
フレームは手順通りハメ込んでいくだけなので、工具もいらず簡単でした。
水やりはネットを被せたままでも出来ますし、ネットが邪魔な時はフレームごと外す事も出来ますので便利です。
ネットがいらなくなったらフレームを解体して収納する事も出来る点も良さそうです。
という事で、ここまで覆っておけばヒヨドリもなかなか手出しできないでしょう。
羽が絡まるのが怖いのか、ネットの様な物があるとあまり近づいて来ない様です。
ちなみに株の脇に見える緑の樹脂の網は、ネットとは別で、イチゴの実が土に付かない様に乗せる為の台(支え棚)です。
本来は円形で株を囲むように使用するのだと思いますが、花と実が出来る側が決まっているので半円で使っています。

収穫

6月に入り、実も色付いて来ました。
防鳥対策が功を奏し、無事にヒヨドリからイチゴを完全に守る事に成功しました。
おかげで何個か収穫して食べる事が出来ました。
甘味・酸味のバランスも良く、なかなか美味しいです。とちおとめにして良かった~。
そしてこれからも、ちょこちょこと収穫が出来るのかなと思っていたのですが、思ったより花が出てこないなあ。なんて思っていたら、ランナーばっかり伸びてくる様になってきて、結局次の花は出てきませんでした・・・。
おそらく苗の購入や植付の時期が少し遅かった事によって、花芽の分化があまり促進されていなかったのかなと思います。
8月頃からランナーから苗の再生を初めて、来年たくさん収穫できるようにリベンジしたいと思います。
【つづく】
あ、あと、一緒に植えていたニンニクは葉っぱが病気になって来たので、途中で収穫しました。
残念ながら小ぶりでしたが、味はバッチリの美味しいニンニクになってましたので、ニンニクタップリのペペロンチーノパスタを作っていただきました。

